CLTは、1990年代中頃からオーストリアを中心として発展してきた新しい木質構造用の材料です。
現在では、オーストリアだけでなくヨーロッパ各国でも様々な建築物に利用されており、また北米地方やオセアニア地方でも規格作りや工場生産がスタートするなど、CLTの利用が世界各国で急速な広がりを見せています。
日本でも木造在来工法、鉄骨造、RC造に替わる新しい構造体として注目を浴びており、国産材の有効活用の切り札として、官民一体となって急速な発展を遂げている、新しい建築材料です。
毎年着実に市場が拡大しつつある傾向が見て取れ、特に直近の伸びが大きくなっています。
出典 : 内閣府 CLT活用促進のための政府一元窓口
コンクリートや鉄に比べて木材は製造する時のエネルギー量が少なくCO2の発生量が抑えられます。
また、木は成長する過程で空気中のCO2を固定して伐採されても木材として利用されてから廃棄・燃料になるまで炭素を貯蔵しており、その間に新たな植林された木が成長します。
つまり、利用するときに発生するCO2は新たに成長する木材が吸収してくれるということです。
CLTは木の塊ですので従来の木造建築物と比較して単位面積当たりの木材使用量が多く木材利用量を促すことになります。
CLT構法では、ほとんどの接合部がボルト・ドリフトピンで接合されているため、構造躯体にダメージを与えることなく解体することが可能です。
例えば、災害時の仮設住宅にCLT構法を利用すれば、不必要な時にはCLTを解体し、必要な時には再組立をするといった使い方も可能となります。
CLTは、今まで建築業界の常識であった「スクラップアンドビルド」から脱した未来志向のサステナブルな素材と言えます。
森林は、森林資源を使用しないと荒れてしまいます。
CLTによる建築は、従来の木造建築より使用木材量が多いため、国内の伐採期を迎えた森林資源を有効活用できます。
森林資源を有効活用することで、適切な森林整備がされるとともに、将来にわたる木材の利用が可能になります。
このように森林資源を循環利用し、森林整備を着実に進めることによって、健全な森林の造成・育成が図られ、国土の保全、水源のかん養、地球温暖化の防止など、森林の有する多面的機能が持続的に発揮されます。